純視点

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「なぁ、チュウってしたことあるか?」 僕を抱き締めたまま、恵が囁いた。 僕の心臓はドキドキと鼓動した。 雄人の白い肌が間近で、直視出来ない。 「そう言えば、無いかな・・・」 雄人が呟く。 恵は綺麗な瞳を輝かす。 「してみねぇ?」 恵が、またおかしなことを口にする。 僕が雄人の顔を見ると、雄人が僕の顔をジッと見つめた。 え・・・?え・・・・・・・ 「俺、純になら出来る。」 恵がそう言うと、雄人まで・・・ 「俺も、純になら出来る。純は?俺らからされたら、いや?」 「・・・・・・・・・・・」 そんな、そんなの、狡いよ。 そんなこと、好きな相手から聞かれたら、僕は・・・・・・ 「いや、・・・・・じゃ、無い・・・・・」 そう小さく呟いていた。 ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・恵からは、さっきまで食べて居たお菓子の味がした。 ・・・雄人からは・・・・・・ 雄人の唇の柔らかさを知った。 彼の人の唇の甘さを知った。 ふに・・・と、触れるだけのチュウだったけど・・・ 僕はすごく嬉しかった。 雄人のファーストキスの相手は、僕のものだ。 恵のも・・・だけれども。 いいのかな? こんな人気のある二人からのファーストキスの相手が、僕なんかで・・・ それでも僕は嬉しさに照れて下を向いた。
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