恵視点

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純のやつ・・・ まんまと騙されてくれた。 やっと・・・ やっと純にキスが出来た。 まぁ、純は雄人のことが好きだから、絶対に断れないって、知ってたけどな。 なんとなく・・・ なんとなくだが、気分が悪い。 俺の気持ちなんか何も知らないで、赤い顔をして嬉しそうな純が・・・ なんで雄人なんだろう。 なんで俺じゃないんだ。 俺の方が純を幸せに出来る。 その自信がある。 俺の家はでかい病院を経営している。 まぁ、俺はそんなもん、目じゃないけどな。 そんな、レールに乗っかって生きるみたいなことはしないで、自分で夢を果たしたい。 俺はいずれ東京に出て一旗揚げたい。 それに、純がついてきてくれると嬉しい。 純が雄人じゃなく、俺に振り向いてくれたら・・・ 絶対に絶対に幸せにする。 こんな気持ち、純には迷惑なんだろうな。 純は雄人が好きなんだから。 雄人のことを見ていると、ヤツもまんざらでは無さそうだ。 こいつは手強いぞ。 だが・・・ 純が幸せにさえなってくれれば誰と一緒になろうと異論は無い。 俺は近くでそれを見て居られさえすればいい。 この俺が、そんなささやかな幸せを夢見るなんてな。 本気なんだ。 本気でこいつに、ホレてるんだ。 なのにこいつは・・・ 雄人に夢中で俺の気持ちになんか、全く気付かない。 鈍感にもほどがある。 まぁ、悟られて微妙な距離取られるのもイヤだから、俺はチャンスを狙ってやる。 雄人にフラれでもすれば、純は心に傷がつくだろう。 それを利用してやる。 我ながら、随分と自分勝手な考えだけどな。 どこがそんなにいいかって? まずは、見た目だな。 浅黒くてツルツルの肌と大きな目、小さい鼻と口。 体も浅黒くて、そしてきっとあそこだけは白いんだろう。 その肌の綺麗さと、バランスの取れた顔。 自分がどれほど他人を夢中にさせるか全く分かって無い態度。 そして純は、とても純情なんだ。 真っ直ぐで純情でシャイで、俺の庇護欲を駆り立てる。 小動物にも似た可愛さだ。 純のことを遠くから見てる奴らがいる事は、雄人も知ってる。 そして、俺と雄人は、そんな奴らから純を護ってる。 純の知らない所で・・・ そんじょそこらのヤツに取られたらたまったモンじゃ無い。 純は、本当に色にたとえたら真っ白。 肌は浅黒くそれはそれで綺麗だが、心は真っ白だった。
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