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純が恥ずかしがって頬を紅く染めている。
可愛い・・・
同じ男なのになんでこんなに可愛いんだろう・・・
可愛く感じるのは、純のことが好きだからだろうか?
いや、いやいや、男同士でそれは無い。
昔からの幼馴染みで一番傍に居るからそう錯覚するんだろう。
俺の生っ白い肌とは違い、健康的に焼けた肌。
その小麦色の肌が、俺に憧れさせるんだろう。
憧れ・・・本当にその言葉がこの気持ちに合っているのか、分からぬまま・・・
純が下着に手を掛けて、今にも脱ぎそうになっていたその瞬間。
ガラッと、小屋の扉が開いた。
「っ!!」「!!!」「えっ!!」
俺たち3人は驚いて扉を見た。
そこには、見知らぬ若い男が立っていた。
身長は180あるだろうか、背の高いイケメンだ。
その男は、純の裸体をまじまじと見つめた。
俺は咄嗟に、純の前に立ち、純が見えないように囲った。
「あんた、誰?」
恵が少し震えた声で尋ねる。
男は、ガシガシと頭をかいて、こう言った。
「俺、この小屋の持ち主の息子なんだけど・・・君たち、高校生だよね?こんな遅い時間までこんな場所で遊んでていいの?」
「純、早く服を着ろ。」
俺は純に服を着るように言った。
純は慌てて服を被った。
「この小屋に持ち主なんていたんですか。すみません、知らなかったもので。でも、ここは俺たちが綺麗に片付けて、綺麗に使っていたので・・・その・・・・・・」
「ああ、そうなんだ。親父に、ここを片付けるように言われてさ、来てみただけ。俺、東京からこっちに帰って来たんだ。原基也って言います。」
「原・・・さん。ここは、貴方が使う予定ですか?」
「ああ、いや、物置小屋になってるだろうから、ここを片付けて使えるようにしろ、って、親父に言われてさ。でも、君たちの秘密基地になってるなら、このままここを使うといいよ。ときたま、俺も混ぜて貰ってもいいかな?」
「混ぜて?ですか?あの・・・俺たち高校生ですけど・・・一緒に居てもつまらないんじゃ?・・・・・・」
「そっちの君。綺麗な肌をしてたね。俺、君の事気に入っちゃった。それから君と君のことも。だから、一緒に遊びたくなった。ダメ?」
「ダメじゃ・・・無いですけど・・・」
「純、恵、いい?・・・」
純はとうに服を着終わっていて、俺の後ろに突っ立っていた。
恵は椅子に座って様子を伺っていた。
「俺はいいけど・・・純は?」
「ぼ、僕も、いいです・・・あの・・・なんてお呼びすれば?」
見た目がイケメンだし、怪しい人じゃ無さそうだけど・・・純のことを気に入ったってとこが、気になる。
純に目を付けて純で遊ぶ気じゃ無いだろうな。
「俺のことは、基也(もとなり)って呼んで。君の名前は?」
「時城雄人です。雄人でいいです。」
「俺は太田恵。恵って呼んでください。」
「ぼ、僕は、石川純です、純って、呼んでください。」
純の顔は真っ赤に火照っていた。
裸を見られたのが恥ずかしかったんだろう。
恵は、面白く無さそうに返事をしてた。
分かる。
俺も、なんだか面白くは無い。
他人に、俺たち3人だけの空間を荒らされた気がして。
俺たち3人だけの空間に、見知らぬ他人が急に入って来て蹴散らかされる感じがして・・・
「じゃ、明日からここに加わらせて。自分で椅子も持ってくるよ。」
原さんは、そう言ってここを去って行った。
俺たちは椅子に腰掛け、なんだか白けたムードに飲み込まれていた。
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