Prolog.

2/2
前へ
/5ページ
次へ
星降る夜。 うん100年に1度とかうんたらかんたら。 よく分からないけど凄くいっぱい流れ星が降るらしい。 テレビはそのことばっかりで嫌気がさした。 だからラジオを聞いていたのにラジオもそのことばっかりで。声だけの仕事なのに見ていることを言ってどうする。 携帯の通知もそれしか来ない。 Tuitterの通知も、LIMEもdascardも。煩わしくて電源を落とした。 だって私が今みることが出来るものは、ただの灰色の地下室の天井だけだからである。 なんで地下室なんだって? それは、母親が私のことを嫌いだから。 いつも学校から帰ってきたら地下室に閉じ込められている。 私を地下室に監禁した母親も。 それを黙認している義理の父親と弟も。 そんな人達でさえうん100年に1度の流れ星を見に行ったらしい。 そんな薄情な人達でも、学校にだけは行かせて貰えた。お金だって出してくれた。ご飯だって与えられた。表面だけは何も問題が無いように、殴ることも蹴ることも。私の体に傷がつくこと、私が痩せることを1番嫌った。ただ、私のことも嫌っていた。だから私と顔が合うことのないように、外から鍵のかかる、中から解除することの出来ない地下室に閉じ込められていた。テレビもあった。スマートフォンだって与えられたし。 学校では、曲がりなりにも彼氏が居たし、友人も居た。そんな彼氏には1度、この家庭環境を相談した覚えがある。あのお母さんがそんなことするわけないじゃん、と信じては貰えなかったが。 彼氏からの私に対する愛情はしっかり感じて居た。そのため私もそれに返していたのだ。 ただ、虚しかった。表面だけで言葉にするだけで、ふれあうだけで、それだけで好きだと思い込める。 愛していると、思い込むことが出来る。 そんな甘く浅い関係に酔いしれ、依存していた。 どうすれば、虚しい思いが消えるのか。 どうすれば、私は幸せになれるのか。 どうすれば、私は人生に満足出来るのだろうか。 流れ星が流れ切る前に3回願いを唱えれば、唱えた願いを叶えてくれるということをよく耳にするが。 そんな迷信に藁にもすがる思いで願った。 見えない中、灰色の天井に必死に願った。 どうか、どうかどうか。 私の存在を。ネット上の私も。家での私も。学校の私も。 ケシテクダサイ。 ーーー分かったよーーー …は? そして私の意識は消えていくのだった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加