12人が本棚に入れています
本棚に追加
高校を卒業してから、もう40年経つ。
クラスの同窓会ならわかるが、ブラバンとコーラス部のっていうのはなぜなのかよくわからなかった。定期的に会っているわけでもないのに。
いや、私が知らないだけかもしれない。
上京してからというもの、こっちの友達とは疎遠になっていた。
ここ最近やっと、昔の親友と時々ランチやお茶をするようになったぐらいなのだ。
私は詳細を聞くためにショートメールから先輩の番号をクリックした。
プルルル……プルルル……何度目かのコールの後、留守電のメッセージが流れた。
私は名前だけメッセージに残した。
夜8時頃、先輩からの着信があった。
私は急いで、スマホを耳に当てた。
「もしもし」
「もしもし、さっちゃん?」
先輩の懐かしい声が耳に響いた。相変わらず地声が大きい。
「先輩、お元気でした?」
先輩が卒業後、地元の短大に進学したことは知っているが、それ以降のことは知らなかった。
「ごめんね、電話取れなくて。もう来年定年だっていうのに遅くまでこき使われてるのよ」
「え、先輩は仕事何してるんですか?」
「短大出てから、ずっと保育士やってるよ。あ、そっか。さっちゃんとは卒業以来会ってなかったもんね。声が変わってないから、そんな気がしなくて知ってるもんだと思って話進めてたわ」
「声は変わってませんけど、顔とか体型見たら驚きますよ」
「じゃあ、ビデオ通話にする?まあ、1ヶ月後に会えるか……。当然出席よね?」
最初のコメントを投稿しよう!