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「こんな便利なもんがあるんや。佐原さんもこれ、知っとったんちゃう? いくら何でも家政科出身で知らんってことないやろ?」
宇部君は、良い具合に突っ込んだ。その言葉に思わず、言葉を失う。それはそうだ。裁縫が苦手でも、これなら誰にでも出来る。このテ一プの存在だって、知っていた筈。このテ一プを使った衣類は洗濯も可能で、強力な接着で剥がれにくい。どこの手芸用品店でも、手に入れることが出来る。
「じゃぁ、何で佐原さんは私に裾上げを頼んだんやろ?」
首を傾げる私に、宇部君は優しく微笑み見つめる。
「そりゃ、君に会いたかったんやろ。もっと仲良くなりたかったんちゃうかな」
予想だにしていなかった言葉に、思わず目を剥く。
(そうだったのか……)
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