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探し物アプリ
「私、自分が嫌になった」
放課後、机の上に大量のものを出したリエはガックリとうなだれていた。手には空になった鞄を持っている。
「当然どうした?何か失くしたの?」
一緒に帰ろうと待っていたミキが問うと、リエはものの上から机に突っ伏しボソボソと答える。
「わかんない」
「は?」
「何を探してるか忘れた」
リエが額をぐりぐりと机に押し付ける。ミキは呆れ顔でその様子を見ていた。
「そんなあなたに!はい、どーぞ!」
場にそぐわない明るい声で、ナオがスマホを差し出す。
「探し物が見つかるアプリで〜す!質問に『はい』か『いいえ』で答えると、探し物を見つけてくれるんだって」
顔を上げたリエはスマホを受け取る。
「ありがと、やってみる」
「便利なものがあるのね」
ミキとナオが話しながら待っていると、スマホからパンパカパーンと呑気な音が流れた。
「見つかったみたい」
3人で画面を覗き込む、そこにはこう書かれていた。
「あなたの探し物は『探し物』です」
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