黒猫男爵

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伊都子(いつこ)は窓辺に置かれた 薔薇の飾りを点検していた。 「随分たくさんの薔薇だね」 「今宵は月も出ないとか・・・  屋敷の中が暗くならないように  飾らせましたのよ」 「いいね、葡萄酒でも開けようか」 夫は執事に目配せした。 「たくさん召し上がってね」 伊都子は妖しく微笑んだ。 仏蘭西(フランス)より取り寄せた ランプで照らされた薔薇は 窓を彩り、絵画のように 外からも見ても艷な大輪。 b54dc924-a665-4b41-9e30-d4ab45ecdfba    
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