黒猫男爵

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伊都子は黙って招き入れた。 「大臣は・・・よくおやすみかい?」 「ええ、酔うと朝まで起きないわ」 「念のために仮面はそばに  置いておきましょう」 枕の横に仮面を並べ 男は美しい顔を伊都子に寄せた。 「薔薇の合図を待っていたよ」 「出来れば毎夜逢いたいけれど」 腰を強く抱いた男を眺め、 伊都子は自ら唇を開いた。 「待ち遠しかった・・・」 右手は“黒猫”の“尻尾”を探る。 “黒猫”は“黒猫”で 器用な指先で伊都子を探る、 馴れた伊都子の急所を突いて 甘い吐息を導いてゆく・・・。  
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