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貴婦人修行
「二本松伯爵邸へお呼ばれかい?
行ってくるとよいよ、
なんと言っても二本松夫人は
社交も教養も鹿鳴館随一だ。
引っ込み思案の君には
よい刺激になるよ」
刺激・・・そんなものは要らない、
万亀子は思った。
旗本武士の家からの輿入れ、
明治になったとは言え、
ドレスも着たこともなければ
洋食すらも食べたことがない。
維新の功労者であったこの家に
嫁いで半年になってはいたが
再三の鹿鳴館への誘いも
万亀子には憂鬱なだけ。
けれども・・・
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