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「万亀子様、いったい何が
恥ずかしいの?
御自分の…」
二本松夫人は
己が夫の弾く万亀子の
胸先の果実を
「こんなにふくよかに
熟しているものを…」
万亀子の耳元で解説。
認知しているが故に
万亀子の瞼はいっそう
強く閉じてしまう。
「“コチラの瞼”は
今にも開いてしまうと
…いうのに…」
それも百も承知で
伯爵の指が奏でる
“雨だれ”は他の誰でもなく
万亀子自身の“鍵盤”で
名演奏者の指のままに
“涙”を散らして
前後左右に身体を揺らせ
曲に合わせて啼く万亀子。
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