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「あら?九郎さまよ」
「ほんと!!」
「皆様、九郎さまが
サロンにいらしてよ」
夫人方がどよめく先には
美青年が一枚の絵のように
猫脚の椅子にしっくりと。
「九郎さまって?」
「姉ヶ崎公爵さまの
末の息子さんよ、
洋行よりお帰りに」
色男に目がない婦女子が
蟻の如く群がると
姉ヶ崎九郎は立ち上がり
「ごきげんよう、
先週東京へ戻りました。
何をおいても
二本松さまのサロンへは、
一目散に馳せ参じました」
九郎の視線の正面には
今宵も艶やかな…
…二本松夫人。
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