黒猫男爵

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「もう奥様は脚も腰も、ふふ  砕けて哭いたそうですわ」 「まあ、それほどに?」 「夜明けまで、黒猫さまの  ザラリの舌で」 「ザラリ!」 「耳に首筋、脹らみはもちろん」 「もちろん!」 「ザラリの上に、舌先が繊細、  細かい(ふち)を」 「縁!」 「奥を・・・」 「奥を!」 「このくらいで興奮なさっては  心臓がもちませんことよ」 そう言われても 胸先がピンと立たずにおられない、 ドレスの中が湿気を帯びずには ・・・おられない・・・。 手前の楽団は御夫人方の 奇声を消すために やけに派手な楽曲を選ぶ 有閑の午後・・・。    
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