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お互い仕事は忙しい。休日が合わず……あたしは接客業で、彼は会社員だから。彼が土日が休みであたしが平日が休み。一緒にお休みを取れるのかなんて、一ヶ月に一回か二回の頻度で。……とはいえ、このご時世。仕事があるだけ、ありがたいと思っている。
うちの店が入るビルのテナントが次々入れ替わっている。短縮営業、倒産……なんて話も珍しくはない。
この状況下で、お客様がいらしてくださるだけありがたいのだ。お客様が経済を動かしている。……微力ながらも、わたしも。
大樹は狭いキッチンでてきぱきと食材を冷蔵庫にしまい、あたしを振り返ると、
「風呂、入ってきな。飯、その間に作っておくから」
「……でも」とあたしは抗う。「大樹だって、最近、新規のプロジェクトリーダーになって大変だ、って言ってたじゃん。帰って休みなよ」
すると彼は、じゃがいもを掴みかけた手を離すとふっ、と笑い、
「大丈夫。おれ、からだだけは頑丈に出来てるから。……今日、なんか、珍しく早く帰れるって感じがしたから、美紗んとこ行って、美紗に美味い飯食わせてやりてえって、急に思いついたの。おれの好きにさせて?」
「……大樹……」
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