ゆかちゃんのコーヒー牛乳

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「ってかさー、カフェオレっていうんじゃないの? こういうの」 「どこで覚えたの。コーヒー牛乳はコーヒー牛乳なの」 「もういいや。いただきまーす」 「……」 「……」 「……そんなに長々お祈りしなくていいよ、ゆか」 「え、なんで? 食べ物や作ってくれた人に感謝を捧げろって先生が」 「頼むから、そんなに長くお祈りしないで。間に合わなかったら困るでしょ」 「何に?」 「何か、起きたときに、逃げ遅れたら……」 「……お母さん?」 ねえゆかちゃん、覚えてる? カルーアミルクを教えてくれたこと。 本物を自分でおいしく作れるようになったよ、わたし。 カルーアと牛乳を1:3で割るのがコツだよ。 ねえ、あの日返しそびれたチェックのハンカチ、娘に使わせてるけど、いいよね。 甘くてほろ苦いカルーアミルクで、もう一度あなたと乾杯したいよ。 <おわり>
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