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それだけでは飽き足らず、窪みに舌を差し入れ、そのまま吸い出そうとする行為に忠臣の腰が止まらない。
乳首を扱われ始めて、もう数日経つが何も感じないなんて言っていたのが嘘の様に今ではすっかり性感帯の一つ。
けれど、まだそこだけでは決定打にはならない。
スウェットと、言うよりは下着の中は想像したくないが、きっと悲惨な事になっているだろう。
着替えてから学校に行かなければならないと思うと、今やっている卑猥度合を増長させ、背徳感が凄まじい。
「い、…っ、ほんと、っ、」
飽きもせずに吸い続けた利桜に根負けしたのか、顔を出したらしい乳頭を口に含まれた舐められる忠臣の限界も近い。
「り…、おくんっ、」
「んー?」
じゅっと鳴る音が更に羞恥を生む。
顔を上げた利桜の湿った唇と、しとどに濡れた自分の唇が視界に入り、忠臣の顔が歪む。
ただそれは、苦痛だとか嫌悪等では無い。
「時間、とか…無いし、家の中入りたい…っ」
「で?」
ひく、っと頬が引き攣る忠臣とは反対に笑っている利桜のアンバランスさ。
生々しさを感じると当時に、ぞくりと湧き上がる欲情は朝も夜も関係は無いらしい。
「ちゃんと、した、い、」
消え入りそうな忠臣の声にまた利桜の笑う声が聞こえた。
*****
次があるか分からない。
確かにそう思っていた。
ノンケのイケメン。今まで何不自由無い女関係であったのは用意に想像がつく。
なのに、今付き合っているのは男、しかも年下の幼馴染。
見た目も人の眼を惹くような華美でも無ければ、身体は華奢でもない。
しかし、蓋を開けてみれば忠臣が白旗を上げる羽目になってしまっていると言う、この事実。
(…まぁ、なんっつーか………)
「………週5はある気がする…」
ぼそっと洩れた心からの本音は声にでてしまった。
「は?何が?」
隣で忠臣のノートを必死に書き写している下野の問い掛けに、思わずはっと今自分が居るのは教室だと思い出す。
(やべーやべー…)
かああっと赤くなる頬を誤魔化す様にそっと顔を伏せる忠臣に不審げに首を傾げる下野だが、今はそれよりもノートを写す事を優先としたようだ。
次の授業が始まる前に終わらせねばと、怒涛の勢いでペンを動かしていく。
その様子にこっそりと安堵の息を吐く忠臣は最近常に着用しているハイネックの首をそっと撫でた。
好んで着用している訳ではない、このタイプの服。
むしろあまり進んで買う事も無かったのだが、勿論これにも訳がある。
お約束と言うか、鉄板と言うか。
首筋や肩、背中、鎖骨等に付けられた情事の跡の所為だ。
(あの人めっちゃ跡付けるよな…)
あの爽やかで綺麗な顔だからこそ、そう見えないだけで意外とそう言う性癖の持ち主なのかもしれないが数と量がエゲつない。
キスマークと呼ばれる物から、噛み跡まで。
ついでに指の跡までも残る時があるが、主に腰部分に付けられたそれを初めて見た時は腰を抜かしそうになったのを覚えている。
尤も、つい三日前程の出来事だが。
(顔に似合わない激しいの好むよな…)
女にあれだけ執着されるのだから、ベッドでのお遊びも上手いのだろうと言うのを前提にしても、もっとさらっとしているのを予想していただけに、途中意識が飛びそうになるくらいまで付き合わされるのは忠臣の中では想定外。
海鮮拉麺だから塩味かな、と注文したらこってり背油とんこつ味噌ベースを出された様な気分だ。
(けど、うーん…、いや、まぁね…)
それもギャップで興奮する、と言う自分も大概な男なのだけれど。
「あー、そういや、来週はまた実習クラスあったよな」
「え、あ、そうだったな、確か」
ようやっとノートを写し終わったのか、ありがとう、と言いながらノートを渡してくる下野が何やら呟きながら、予定表を凝視。
「やっぱ替えのシャツって必要だよな。寒くても、室内って暖かいし」
「そうだな。着替えは持って行かな、」
下野の言葉に頷いていた忠臣の眼がハッと開かれる。
着替えが必要だとか、そう言う次元の問題等ではないではないか。
(…ぜってー上着脱げねーじゃん…)
きっちり首までチャックを上げたジャージ姿で汗ばんでいるであろう自分の姿を想像し、忠臣はぐぅぅぅっと唇を釣り上げた。
付いているモノを急に消す事は出来ないが、増やす事は阻止出来る。
『お風呂入ったらおいで』と呼ばれた利桜の部屋の前で、ふんっと鼻息荒い忠臣は扉をノック。
すぐにどうぞ、と聞こえた声にそろりと扉を開けると、パソコン前に座る利桜がくるりと椅子を回し、にこりと微笑んだ。
「長風呂だったね」
「え、そ、そう?」
「…一人でしてた?」
「してない…っ、そう、じゃなくて、あのさ」
一人で後ろを弄るなと言う利桜からの言いつけを律儀に守っている忠臣だが、そこが問題ではない。
「じゃ、おいで」
やってあげる、と笑う利桜に魅了されそうになり、フラフラと近寄りそうになるも、大きく首を振ると拳を握った。
「あの、あ、見える所に跡を…付けるの、ちょっと辞めて貰いたい、って言う、か」
「何で?」
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