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「ちょっと倉土さん。それって捜査線上の秘密ってやつじゃあないですか。不味いですよ、しゃべりすぎるのは」
後ろに控えた後輩らしき若い黒髪の刑事が彼を諫めるが、倉土と呼ばれた小太りの刑事は笑ってまともに取り合おうとはしない。私が放心したかのようにじっと黙っていると、倉土刑事はひとつ小さなため息を零して、
「至急、現場に来てもらえませんかね。こんな夜更けに凄惨な現場へ女性を連れ出すのは大変心苦しいですが我々も犯人逮捕が急務ですので。とりあえず遺体の身元ははっきりさせておきたいのですよ。いま検問を張っていますが、安東弥生は圏外に逃亡している可能性もありますしね」
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