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怒涛の年末が過ぎ去り、セカンダム世界に新年がやってきた。
年末年始は何かと忙しない。 ウェスター国の王はじめその守護にあたる戦師の面々が、他国に出張に出てる一同も含めて全員ゆっくりと出来たのは、もう一月の半ば過ぎだった。
「……五……」
「えーダウトでしょ」「ダウトだな」
アイリはおずおずと場にトランプのカードを伏せて置く。 するとイーステン国に派遣されているモエギと、イサキの両名に即ダウトコールされた。
しかし、その瞬間アイリの隣にいるシンラはニヤリと笑った。 アイリはコールされたのでカードを裏返す。
「はーい、五でしたー!」
「おぉう!マジでか!?」
「えええ、絶対嘘くさかったのにー?」
ほぼ同時に驚く少年少女の二人に、アイリが勝ち誇る。
「ふふふ、勝負はなんたって駆け引きだからね」
場に出されていたカードの山は、モエギとイサキで半分ずつ手札に加えられた。
「嘘はウルトラ一級品に下手くそなのに、演技は上手いって何……?」
昨年のエイプリルフールの一件を思い出しながら唖然としているイサキに、シンラはこともなげに呟く。
「えー、今のはいかにも演技してますってな言い方だったじゃん。 無駄にソワソワ感を演出してたし」
「そうですね、そういう仕込みはもう少し終盤で発揮されるほうがよろしいかと……六」
ウェスター参謀であるウキョウが置いたカードに、ダウトコール出来るようなツワモノは……
「ダウトね」
……いた。 ノーゼン国に派遣されている自称『永遠の二十代』ことアオイだ。
「……いたしかたありませんねえ」
ウキョウは場に置いたカードを手札に戻す。 ちゃっかり場に二枚出そうとしていたようだ。
「七」
そして、サウザーン国勤務のマコトが場に置くと、
「ダウト」
まさかの全員一斉ダウトである。 地味に怖い。
「……くっ……なぜ……」
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