序章

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そしてゲームが進んでいき、敗者は……。 「またお前かよ、マコ」 「……甚だ不名誉……!」 ゲームに一番負けた者が王に近況報告をするという、ウキョウ考案の親睦会……なのかはたまた定例会議なのか。 ちなみに開催場所は会議室などではなく、食堂の大型の炬燵(こたつ)である。 ほっこり。 そんな訳で、ウェスター王、ウェスター戦師三人、各国への派遣戦師三人、ウェスター参謀ウキョウの計八人によるトランプ大会が催されていた。 「彼女ネタは厳禁だぞ」 先程の報告はサウザーンにて婚約中のマコトの彼女を、あれやこれやと褒め称えるだけの演説と化して終わった。 マコトの彼女への溺愛っぷりは一同慣れているが、軽く引いている。 「……そうですね……。 では、今度は。 国王様の動向について」 「あー、サウザーンの王様。 体調悪くされてるって俺も聞いてるっすよ」 既に二個目である蜜柑を剥きながら、シンラが後を続ける。 ウェスター王ことケイゾウも頷いた。 「そうそう。 サウザーンって跡継ぎがいねえんだよな、たしか。 二十歳まわってなきゃ王位継げねえんだろう?」 「うわぁ……ウェスターならアウトじゃん。 ケイぴってたしか十四だったんでしょ、王位継承」 モエギが口を挟むとケイゾウはさらにふんふんと頷いた。 「あ~……本当、急だったもんなあ。 周りも大変なんだよ、王位継承って。 もろもろ面倒なんだ」 「何もそんな。 王様が亡くなることを前提とした話にしなくても。 まだご存命なのに」 「いや、大変だからこそ。 早めに準備しなきゃならねえんだろ、周りはな。 秘密裏に」 アイリの呟きに蜜柑を食べながらシンラが応える。 マコトが続けた。 「……それで。 どうやら国王様は、『飛翔翼神(ひしょうよくじん)会』の代表者トキオ氏を。 後継者とする方針を固められているようなのです。 つまりは、王位継承というよりも王権交代……」 「ああ、飛ぶ翼じゃなくて卑しい欲望のほうの『卑欲(ひよく)の会』とか言われてる、最近頭角を現してきたあの組織ね? 胡散臭いって噂の……」 「アオイさん、それサウザーンで呟いて、通報でもされようものなら。 首が飛びますよ」 「あら~『肥沃(ひよく)』って、『作物がよく実る』とかそんな意味じゃない。 悪い意味で言ってるんじゃないわよ、ねえ?」 卑しい欲望だとか胡散臭いだとか言った舌の根も乾かぬうちに、サラリと言ってのけるアオイだった。
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