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「ねえ、これじゃぁマコトばっかり喋ることになりそうだから。 王への報告、何位の者がするかはクジにしない? 」
アオイがそう言ったので、マコトは内心胸を撫で下ろした。
そして次に行われた七並べは、三位だったモエギが近況報告をすることになる。
「ん~……個人的なことになるかもしれないけど。
シラユリ様。 ……確証もないし、どうって言う訳じゃないんだけど、……ごめん、先に言うと女の勘ってやつね。
……誰かいい人、見つけられたんじゃないかなぁ……って」
シラユリはイーステン国の女王、歳はケイゾウと同じ十八だ。 世間知らずで高飛車な面もあるが、根は真面目で国を心から愛する女王だ。 最近、恋に恋する状態が続いているのは、ウェスターの民でも知るところである。
「勘……ってお前、またそんな。 ざっくりだな」
「なんだよー、だってなんかオーラっていうか雰囲気っていうか……なんか最近違うんだもん。 艶っぽいっていうか……!
かと思えば、朝になかなか起きてこられなかったりするしさあ」
イサキのツッコミに、モエギは抗議する。 アイリが助け舟を出した。
「いや……でも、そういうのって案外的を得てたりするのかもよ? 分からないけど」
「……うん、まあ、……アイ姉がそう言うなら」
イサキはそれ以上は言わなかった。 続く言葉は、『アイ姉も、シン兄となんやかんやあった時、そんな特殊なオーラを出してたもんね』、そういった類いだ。
シンラは弟分が、その系統の言葉を飲み込んでくれたことをちゃんと察した。 ……この場で、シンラ自身へ向けての色恋云々の話へと発展するなんてこと、望むわけがない。 気遣いありがとう、弟分……!
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