6. ふたりの

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「じゃあさ、内緒で付き合わない?」 「え?」 「誰にも内緒でさ?それなら良いんでしょ?あずが皆に言って良いって思うまで、俺も誰にも言わないよ?」 「そこまでして、私なんかと付き合わなくても良くない?」 「俺は、あずと、そこまでしても付き合いたい。俺と付き合ってる事、皆に言いふらしたくなる位に好きにさせてみせるから!」 「そんな漫画みたいなセリフ、ホントに言う人いるんだ……」 「いいじゃん。俺、漫画みたいにあずのこと好きだよ。あずが良いなら、壁ドンとか、バックハグとか、今すぐしたいくらいだしっ!」 「っちょ、無理……」 「うん。その反応は、正しいっす。すいません、浮足立って調子に乗りました……」  心臓が爆発して死ぬところだった。  あの、翔と付き合うという事は、こんなことの繰り返しなのかもしれない…… 「ちょっともう既に……挫けそう……」 「え?」 「翔の破壊力……想像超えてたっぽい」 「なにそれ?」 「今でこれでしょ?もしこれ以上、翔の事好きになっちゃったら私……」 「ねえ、あず?……それ、計算?」 「計算……って、違っ……」    私はまたしても、こっ恥ずかしいことを口走ってしまった。  顔が赤くなっていくのがわかる。だって、首の付け根まで熱くてたまらないし。 「ははっ、やばい……俺も、首まで赤いかも……恥ずっ」  真っ赤になっていくあずを見てたら、思わず舞い上がっちゃって、めっちゃ恥ずかしいことを口走ったかもしれない。ってか冷静に、今の状況はマジでやばい。  目の前に大好きなあずが居て、しかもこれ、あずも俺のこと結構好きくない?  油断したら目の前のあずを思いっきり抱きしめてしまいそうになる自分にひいた。 「そういえば、あず、こんな穴場よく知ってたね?」 「穴場?」 「そう。こんな……二人っきりになれるとこ」 「……言い方」 「くくっ……ごめん」  照れすぎてるせいか、ぶっきらぼうになったあずの口調が可愛い。  自分を律するために話題を変えたつもりだったのに、あえなく負けてしまいそうになる。 「だからさ、やっぱ私には……キャパオーバーだよ」 「っごめんて……そうだ、二人だけの合図決めない?んでさ、それしたら、誰にも見つからないようにここに来るの。それ、なんか良くない?」    あずがあんまりにも可愛くて、ちょっと調子に乗り過ぎた。萎れたように俯いたままあずが、どんな顔をしているのかわからなかった。  このままだと、俺はあっという間にフラれてしまう気がする。だから、慌ててそんな提案をすると、あずさんの顔色を窺わせていただくことにする…… 「あずは……ヤダ?」 「……やじゃない」 「……っ。やった。じゃあさ、合図はあれにしよう!あのさ、こうやって……肘んとこ、クイってやるやつ!」  二人で秘密を作って、二人で内緒の合図決めて、二人だけでここで会う。  こんなに胸が騒ぐコト、止められる人なんていないと思う……でしょ?
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