「あの日の、続き。」

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 俺の予想は正確に言うと「だいたい当たっていた」ようだった。  俺にとってはとっくの昔から運命の相手だったこいつは、一向にその歯車を回してはくれなかった。俺がやっとの思いで手を繋いでも、それをふいっと振り払ってしまうような奴なのだ。  予想以上に残念だったのは、それでも諦めきれなかった健気な俺が、2年前に忍ばせたきっかけさえも、今日の今日まで発動どころか、認知さえされていなかった事。それがたった今、判明したこと。 「あー、ホント最悪。全部説明させる気?」 「まあ、できるなら?」 「あっそ。じゃあ言わせてもらうけどさ、お前にとって運命って何?」 「え?そこまで戻る系?っと、ですねぇ……」 「あれだろ?前世でもなんちゃらとか、出逢った瞬間にわかるとか。そんなもんだろ?」 「えっ?語らせてくんないの?」 「ってか聞かなくてもわかるんだった」 「それは、そうでしょうね?」 「そう。だから、ちょっと黙ってて。んで、俺のターン」 「あ、はい。どぅーぞ」 「どうも。で、ですね、俺たちの出会いは?」 「あっ、こういう感じ?」 「うん。はよ」 「はい。小学校入学時であります」 「そうですね。では、その後、何回同じクラスになった?」 「えー?小、中、高でしょ……1、2……あいっ。沢山でありますっ!」 「相変わらず諦めが早いね。まあ、いいでしょう。概ね正解です。じゃあ、次の問題です。たまたま同じ学年に生まれて、学区域も同じ。ってか家も近所でさ、それに加えて何度も3分の1の確率で同じクラスになって、高校なんて示し合わせたわけでも無いのに同じ所に進学して、大学の4年間全く別の場所で生活していたのにも関わらず、今こうして二人きりでいる。はい。この確率は?」 「ええっ?ちょっと待って、難しっ……」 「5、4……」 「カウントダウン?いきなり?しかも5から?ちょっと、タンマっ!」 「無理でーす。ゼロになった瞬間爆発します」 「ば、爆発?って、何が?」 「教えない。ほら、3、2……」 「あー、どうしよ?えっと、小学校が6年でって?あれ?計算、どこからすれば……」 「1、 ゼ……」 「ダメだっ……あっ!もしかして……これは、運命的確率。ってことでしょうか?」 「おっ、流石。あーもう、こういう時はホント無駄に察しが良いな?」 「へへん」 「そういうとこ。本当に迷惑」 「え?何?褒めてくれてんじゃないの?」 「逆だよ。嫌味で言ったの」 「うそ……ショックなんだけど」 「俺もね」 「え?いつの間に?」 「うん。だいぶ前からですけど何か?」 「ごめん。まじで、思考が追っつかない。私、馬鹿なのかも……」 「あー、へこまなくてよろしい。お主は馬鹿なのではない。恐ろしく鈍感なだけだ」 「んん……悔しいですっ」 「よ~く、よ~く思い出して。はい、俺たちの関係は?」 「えっと……幼なじみ?」 「どんな?……ヒントは、さっき気が付きました」 「う、運命的な?」 「はい、そうです。正解。だとしたら、もうおわかりですね?あの日、キスした理由」 「え……わかりません」 「うん。だと思った」
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