結婚生活五か条

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まだ見学や見積もりの段階で揉めるのは可愛らしい。 厄介なのは、式を目前に控えての揉め事だ。それは挙式うんぬんではなく、互いの信頼を傷つけ合う。 もう後戻りはできない。 結婚という現実は、これから一生涯、共に暮らす__暮らし続けるということ。 ケーキ入刀が初めての共同作業ではない。 結婚を意識し、思いを言葉にし、形にし、すでに同じ方向を向いて歩み出した時点で、価値観を共有するのだ。 そこに思わぬズレが生じても、別れるわけにはいかない。 中には、別れてしまうカップルも居る。そうした場合は、まだ幸いだろう。いざ結婚をしてしまうと、別れるのも一苦労だ。 お互いの見えていなかった部分(必ずしも悪いものばかりではない)が、結婚式によって炙り出される。 それほど、結婚というものはとてつもない「力」を持っている。 引き寄せる力に、引き離す力。 だから私は、うまく引き合うように全力でサポートをする。 時には、悩み事を相談されることもある。そんな場合は親身に話を聞き、励まし、送り出す。物事の順番や価格を決めて推し進めるだけではないのだ。 そうしてまた、一組のカップルが__。 「お色直しは2回‼︎絶対にそれだけは譲れない‼︎」 「でも予算がオーバーだろ?」 「じゃ、料理をワンランク落としたらいいじゃん‼︎」 「お前それマジで言ってんの?俺、板前だぜ⁉︎」 「それが何よ‼︎料理のが大事だっていうの⁉︎」 「ドレスのが大事だって言うのかよ⁉︎」 価値観は、見事に分裂していた。それはもう、気持ちいいくらいに。
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