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捜査会議の翌日の昼過ぎ、幣原は都内のとあるアパート前に停めた車の中にいた。ここは先の事件の被害者が住んでいたところではない、まったく別の場所である。そこで幣原はもう一人の刑事とともに一階のとある一室を見張り続けていた。そこには大学生が一人で住んでおり、危険が及ばないように幣原は張り込んでいるのだ。
なぜそのような任に就いているかというと、捜査会議にて鑑識が報告した内容が影響している。
司法解剖の結果、被害者の切り裂かれた腹部から洋封筒が見つかったのだ。丁寧に蝋で封をされた封筒には一枚の手紙が入っており、そこにはとある場所の住所と部屋番号と思われる「一〇五」という数字が書かれていた。つまり、今幣原たちが張り込んでいるアパートである。何を意味するのかは不明だが、事件と繋がりがあるのは確かだろう。現在の住人である大学生を任意同行して聞き取りを終えた後、自宅まで送り届けたところだった。
「先輩、お茶と牛乳どっちがいいですか?」
「お茶は温かいやつか?」
「いえ、冷たいです」
「……お茶」
「結局お茶じゃないですか」
買い出しから戻った後輩の比奈木巡査と共に菓子パンと飲み物を胃袋に流し込む。
「本当に次はあの人が狙われるんですかね。女性とは見ず知らずだって言ってましたし」
「人の腹を切り裂くような犯人だ。理由は本人に聞いてみないとわからないだろ」
しかしそれでも、これ以上の犯行は止めなければならない。
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