朝に想ふ

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朝に想ふ

あたしが一人で遊んでいる時、サキもまた一人で遊んでいた。 あたし達はひとりぼっち同士、誰かと一緒になりたかったのかもしれない。 サキの家庭は母子家庭で、お母さんはいつも違う男の人を連れ込んではセックスしていたらしい。サキが家にいようと、その行為を見ていようと、構うことなく。 これはサキが中学生の頃に言っていた話だけど、「母親はいつも愛されたい。愛されたいと言っていた」そうで。 「セックスする事が唯一愛されていると感じることが出来る行為」なのだと、サキは幼い頃からまるで洗脳のように言われていたみたい。 会った事はないからサキのお母さんがどんな人間なのかはわからないけど、サキから聞いた話によるとサキのお母さんは不倫の末にサキをこの世界に産み、絶対に結ばれる事のない相手を愛していたのだと、愛しているのだと言う。 所詮不倫相手という寂しさから、愛して欲しい人の最愛の人には絶対になれない絶望感からか、サキのお母さんは色々な男に愛を乞うていたのだろう。 そんな女に育てられたサキもまた、セックスでしか愛を伝えられない男になってしまったのだ。
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