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この様子なら、いきなりツッコんでやることもできるかもしれない。正直、自分の下半身もイキリ立っていて既にやばい状況なのだ。今まで散々オカズとして抜いてきた相手を使って、童貞から卒業できるかもしれないのである。相手は自分のことを嫌悪しているのに、体は正直に快楽に屈服する。どれほど苦しむだろう、絶望するだろう。
――そうだ、思い知れ。それこそが、俺が長年お前らに受けてきた苦しみなんだからよお!
「待てよ!」
だが、そう簡単には行かないようだった。彼女に伸ばそうとした手を横から掴まれ制止される。蒼生だった。エロエロな状態の美少女を前にして完全に理性を保っているように見える。あるいは、怒りや正義感がそれを上回っているとでも言うのだろうか。
「いくらなんでも、こんなやり方は間違ってる。お前がクラスで孤立しているのは気づいていた。助けてやれなかったことは、本当に申し訳なく思う。でも……俺はともかく、彼女はお前を直接いじめたり攻撃したわけじゃない!何で、遠藤さんがこんな目に遭わされないといけない!?復讐するにしても、行き過ぎてる!女性の尊厳を奪っていい理由になんかならない!」
「すげえな、さすがはクラス一の人気者男子。ここでもまだヒーロームーブができるのか」
「そんなんじゃない。でも、目の前で誰かが間違ったことをしようとしていて、傷つけられそうになってる人がいる。止めない理由があるのか!?」
「あるだろ。このまま俺と一緒に、その女を滅茶苦茶にして遊べるってならさあ。エロゲならそういう展開、普通にあるぜ?ヒーローくんよ」
一瞬、怯えたように小夏が蒼生を見るのが分かった。AVだとか、エロゲだとか、エロ小説なら。このテのイケメンクンも、結局性欲に負けて一緒に女を犯す側に回るのが普通だ。あるいは、ボコボコにされて身動きが取れなくなり、女が犯されているのを黙って泣きながら見ているかのどっちかだろう。
だが、蒼生はそのどちらになるつもりもないようだった。小夏の腕を引っ張ると、早く、と急かしたのである。
「俺が、とにかくこいつを説得するから。君はとにかくこの部屋から出て体を休めるんだ。多分、その症状は大久保から離れれば多少収まると思う。この宿屋は空き部屋が多かったし……とにかく人のいないところで落ち着くまで休んだ方がいい」
「ひ、姫島、く」
「早く!」
抱き上げる時、それとなく胸を触るとか、そういうこともしないのかよと。コウジは少しだけ呆れてしまった。ここまでえっちな状態の女を目の前にして、一切性的な興奮をしないなんてことが本当にあり得るのだろうか。実は不能クンなのかよ、とさえ思ってしまう。
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