<2・ようこそ、異世界へ>

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 自分の腹のあたりをごそごそと触る。いつもぶよぶよと垂れていたはずの贅肉。今はつまむどころか、どっしりと硬い。思わずシャツをたくし上げて確認すれば、見事に腹筋が割れているではないか。素晴らしい。これぞ、理想とする男の中の男の姿である。 ――き、きっと腕力もあるに違いない!これくらい屈強なら、クラスの馬鹿どもにだって見下されたりしねえよな!  自分は、戦闘能力面でチート無双する方向を望まなかった。それよりも、出逢う人出逢う人みんなが自分を溺愛し崇拝し、すすんで奴隷になってくれるような能力を望んだ。だが、それでもこの肉体ならば、元の自分よりはずっと運動能力も発揮することがきでるだろう。女どもに突き飛ばされて簡単に尻もちをつくこともないし、なんなら忌々しい女どもの抵抗を力づくで抑え込むことだって十分できるはずである。  いいぞ、いいぞ、と繰り返しながら大樹の元へ戻っていった。まだ自分にちゃんとチートスキルが備わっているかどうかは確認できていない。だが、まだ気絶している様子の男と女にそれを使ってみればはっきりすることだろう。あのメールが真実であったか、どうか。異世界転移、チートスキル――そんなものをメール一本で実現させることのできるカミサマとやらが、本当に存在するのかどうか。 ――さて、まずはどっちから試してやろうかなあ?  あどけない顔で寝息を立てている美男美女。男の方も女体化させて奴隷にしてやるから一緒といえば一緒だが、やはりまず心が動くのは女の方だろう。  清楚な長い黒髪のお嬢様、遠藤小夏。彼女はどこかに出かけていたのか、お洒落なピンクのワンピース姿だった。  組み敷いて、エロ漫画のごとくアヘ顔を晒してやれたらどれほどすっきりすることか。何度彼女をオカズにしてウサを晴らしたか知れない。現実の彼女は自分が近づくだけでそれとなく距離を置き、目が合えばどこまでも見下したような眼しか向けてこない。目に見えるところで露骨な悪口を言われたこともなかったが、まともに口を聴いた覚えさえなかった。彼女と比べればまだ、同性の蒼生の方が喋ったことがあるだろう、残念なことに。  ずっと、思い通りにしてやりたいと思っていたのだ。その布地から溢れんばかりの胸も、きゅっとしまった腰も、それでいて胸と同じくらい大きくて掴み甲斐がありそうな尻も。  やってみたいプレイは数多く存在する。アレもコレも試して、心も体も屈服させてやりたい。どこまでも辱めて、今までの非礼を土下座して詫びさせたい。 ――やっぱりまず、そのデカくて下品なオッパイからぁ……!  ニヤつきながら彼女の胸に手を伸ばそうとした、その時。 「ん……んん……」 「!?」  慌てて手を引っ込めた。身動きしたのは、小夏ではない。その隣に倒れていた蒼生の方である。
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