紫戦争

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 戦場に行くと、まず目に入るのが死体。半分近くはベルメリオのものだ。 「よし、こいつらの仇討ちとするか!」  フリッシュはそう言うものの、フリッシュ自身も仲間も、そんなことは微塵も思っていない。ベルメリオに雇われているから、社交辞令としてそう叫んだだけだ。  イディオは岩陰に隠れると、ライフルで敵兵の顔を狙撃する。ベルメリオにしろカエルレウスにしろ、兜は頭を守るだけで、顔はノーガードなため、鎧を着ていても撃ちやすい。  トントは自慢の怪力でカエルレウス兵を掴み、他のカエルレウス兵に投げつける。 「うおおぉっ!!」  後ろから斬りかかろうとするカエルレウス兵に振り返ることなく、肘を入れる。鎧はへこみ、兵士の腹を圧迫する。カエルレウス兵は剣を落とし、血反吐を吐きながら倒れた。 「せっかく後ろから襲ってるのに、声あげちゃ意味ねーだろ、バーカ」  倒れた兵士を蹴り飛ばすと、次に襲い掛かってくる兵士を殴り飛ばした。 「ベルメリオに雇われた傭兵か!?」 「そんなことはどうでもいい、斬り殺せ!」  カエルレウス兵達は動揺しながらも、フリッシュに刃を向け、槍で貫こうとする。 「ド素人が」  フリッシュは槍を避けてつかむと、膝で折って投げ飛ばす。その先には、こちらに背を向けて戦っているカエルレウス兵。槍は見事に当たり、それに驚いたカエルレウスが振り返り、ベルメリオ兵に斬り殺される。  振り下ろされた剣を銃で受け止め、軽く払うと、鎧の隙間に銃口をねじ込み、そのまま撃った。鎧のおかげで返り血が飛ぶことはない。  フリッシュは兵士を蹴り飛ばして銃を抜くと、下っ端と戦っているカエルレウス兵を撃ち抜いた。  アストゥトの圧倒的な戦闘力で、若干不利になっていたベルメリオは勢いをつけた。カエルレウスは徐々に衰退していく。 「よーし、このまま押し切るか!」  フリッシュが剣を構え直した途端、体が急に重くなる。目に見えるものが2重に見え、食道が焼けるように熱い。 「ぐっ……!」  地面に剣を突き刺してなんとか持ちこたえるが、周りを見渡すと仲間達が倒れている。 「トント! イディ、オ……!」  喉奥が詰まっていき、声が出ない。視界もぼやけてほとんど見えなくなり、フリッシュも倒れてしまう。  聴覚以外の五感が鈍り、仲間の悲鳴だけが聞こえる。 (クソッ、どうなってやがるんだ……!?)  何が起こっているのか分からずにいると、下卑た笑い声が降ってくる。
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