紫戦争

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 ひとりを捕まえると、拳を顔面に入れる。グギャッメリッと生々しい音が聞こえ、血が飛び散る。フリッシュの拳が離れるとベルメリオ兵の歯と鼻が折れ、白目を剝いている。口と鼻からは、ダラダラと血が流れている。 「この程度で終わるかよ!」  フリッシュはもうひとりのベルメリオ兵に投げつけると、ふたりの足にまとめて剣を突き刺した。 「ぐあああっ!!」 「ひぎいいぃっ!!」  ベルメリオ兵達は悲鳴を上げながらジタバタともがく。フリッシュは冷めた目で、ふたりを見下ろした。 「いいねぇ、お前らは。悲鳴上げることが出来てよ!」  フリッシュは剣を引き抜くと、何度もふたりに剣を突き立てた。彼らが悲鳴を上げなくなる頃には、フリッシュは返り血で汚れた。 「フリッシュ!」  名前を呼ばれて振り返ると、イディオやトントなど、仲間達が駆け寄ってくる。遠目から見ても、彼らに大きな怪我がないことが分かる。 「おう、お前らも生き返ったみたいだな」 「お前らもって……」 「あー、お前真っ先に殺されてたからな。フリッシュはそこで滅多刺しになってる連中に殺されてたんだ」  トントが目を丸くしていると、イディオがライフルで見るも無残な死骸となったベルメリオ兵達を指した。 「いったい何が……」 「詳しい説明は後だ。気色わりー悪魔と契約して、俺達は永遠の命を手に入れたってことだけは言ってやるよ」 「永遠の命だと!?」 「本当に何があったんだ!?」  説明を求める仲間達に舌打ちをすると、フリッシュは彼らを睨みつける。肉食獣のような鋭い眼光に、仲間達は口を噤んだ。これ以上説明を求めると、比喩などではなく、本当に殺されかねないと思った。 「女みたいにあれこれ理由を求めるな! いいか? まずはカエルレウスをぶっ潰す。その後にベルメリオも……」  フリッシュは言葉と途切れさせると、葉巻を咥えてニィっと笑った。 「いや、予定変更。カエルレウスもベルメリオもぶっ潰す」  雇い主であるベルメリオに敵意を向けるフリッシュに困惑する中、イディオが手を上げる。彼らはヒヤヒヤしながらふたりを見守る。 「フリッシュ、質問だ。ベルメリオ兵のワインに、毒が入ってたってことでいいんだな?」 「流石イディオ。話が分かるな。そういうことだ。おい、テメェら! このままベルメリオに雇われても、また殺されるだけだ! だったら俺達でベルメリオを乗っ取ってやろうじゃねえか!」 「「「おうっ!!!」」」  彼らは武器を掲げると散り散りになり、視界に入る兵士達を皆殺しにしていった。
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