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私は科学者である。そして、かつて私は人類の先頭を走っていた。私の研究は疑問の余地なく人類の科学技術の頂点にあった。
あなた方は映像を見てお前など知らないぞ、と首を傾げていることだろう。
それも当たり前のことだ。誰も私のことを覚えてはいまい。当時ですら私のことを知っていたのは研究所の同僚ぐらいのものだった。おそらく今この世界で私のことを知っているのは私自身だけだろう。私の研究は、その研究と私自身を、そしてそれがもたらした重大な歴史的事実さえも時空の闇に隠してしまったのだ。
だからこそ、私は唯一の記憶者として私のしたこと、知ったことを後世に伝えなければならない。しかし、伝えるのは科学者としての私の名声ではない。罪である。
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