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天位を授かると神の位に一歩近づき、さらに、神器を授かることができる。神器は人それぞれで弓である人もいるし剣の人もいる。星太は現段階では見習いだか、来月昇進することが決まり、下界に研修に行くことになっていた。
「お兄は何処に配属されるのー?」
くりくりとした黄土色の目で見つめてくる彼は、鍋を突きながら興味深そうに聞いてきた。
「東の和の島国と聞いている」
「最近は、下界も物騒みたいでさぁー、仕事が忙しくて仕方がないんだよなぁ」
雪花が窓の外を眺めながらぽつりとぼやく。
「そういえば、そうだな。」
何故か、最近は死ぬ人の数が桁違いに多いのである。こんなことは今までなかったことだ。そのことで会合が明日開かれることになっていると聞いた。
「和の島国といえば!酒が美味いところだろ?期待してるぜお土産」
雪花は童顔に似合わず酒豪だ。生前は下界で町一番飲んだくれていた。剣をよくどこかに忘れてきて、探してやるのが大変だった。黄泉の国では酒の製造、販売がされていないため、酒を飲むとしたら下界でしか飲むことはできない。
「米の酒がうまいよな、買ってきてやるよ」
「ありがとう!兄さん」
可愛らしい笑顔で頷くと、甘茶をごくごくと飲み干した。弟は昔も今も、変わらずにかわいいものである。こうして、死んだ後も彼と生きていくとは思っていなかったし、最近は生前の記憶が薄れてきたのもあり、ここに来てから何年だろうか……とよく数えている。
今年でちょうど10年になる。
死ぬ時は怖かった…絶望と恐怖にまみれて黒い意識へと沈んでいった。
でも、あの人がいたから、死んでも大丈夫だと思えたんだ。あの人………。顔を思い出すことが最近はできない。
彼がどんな人だったか、思い出せないのだ。生前の記憶は黄泉の国では自然と少しずつ消去されるようになっている。過去への別れとともに新しい人生を歩むことになるからだ。
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