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下界と前世の記憶
次の日、下界に馴染む質素な着物に着替えた星太は地下にある祠から下界に降りた。誰にも見られないように夜中にそっと降りることが鉄則になっている。降りる場所は誰もいない海辺にそっと降り立ったのだ。
その日はよく晴れて、星が綺麗に輝いている。まるで星太を歓迎するかのようだ。
「綺麗だなぁー」
ここら辺の景色はなぜか、見たことがあるような気がするな。菜大天使が言っていた前世と向き合うという課題も早々に解決できそうだ。
今日は野宿するか…近くにある林に行き、大木の根に腰掛けると、緊張がほぐれスッと眠ってしまった。
寝る前に今日はいい日だった。明日は人の役に立てることをしようと小声で呟いた。
ピヨピヨという鳥の鳴き声が聞こえてきて、朝日が差し込み自然と目が覚めた。そして、街からの活気のある人間の声が聞こえてきた。
お腹すいたなぁ何か食べれるものないかなぁ、屋台を覗くと美味しそうな粥が売っていた。
「お兄さん、一つください。」
「5銭だ。君は見慣れない顔だね、旅人かい?」
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