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「昨日からここに来ました。旅人です。」
「そんなかしこまらんでええよ……。お兄ちゃんはえらい美男子やからサービスしたる、はいお待ち!」
お店のお兄さんが粥の上に梅干しを追加で入れる。朝から何も食べておらず腹を空かせていたので、やった!と星太は心の中でガッツポーズをした。
内心とても嬉しく、下界も悪いところでは無さそうだ。
「ちょっと待って、旅のお方、最近は夜は魔物が最近出るようだから気をつけてな」
そう忠告するとお兄さんは次のお客さんの注文を受けた。
魔物?最近死者が多いのはそれが原因かもしれない。
昼間じゃなくて夜に行動したほうが良さそうだ。邪気を少し感じていたのもそれが原因だろう。
宿泊施設で仮眠を取ろう。費用は持ってきた銀貨で十分足りる筈だ。
そう決めた星太は、近くの宿に行き、受付の若い侍に話しかける、「一泊したい、銭湯はどこにある?」
「おっ!久しぶりのお客だ、10銭だ。銭湯は店を出た交差点の右手の奥にある」
身なりをしているフカフカの布団に横たわる。とても気持ちが良い。お腹がいっぱいになったからか、睡魔が星太を襲う。銭湯は朝一で行こう。意識が遠ざかっていく……。下界に来てから見た最初の夢はとても幸福な夢だった
「きみをずっと側に置きたい、でも叶わない夢だ」
「これから先、ずっと、生まれ変わっても、君を探すよ」と星太は伝えた。
頭をそっと撫でられ雲の上に乗っているような感覚がした。
しかし、手を伸ばすとその人は消えてしまった。
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