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「まずは安全性に拘る専門的な声を小耳に挟み、最大限に規模を縮小するように努力した結果、多くの関係者の方々に望まれ催される平和の祭典は、1つの米粒の中に収めることができました。こうなってしまえば、見過ごすことも見て見ぬ振りをすることも容易で、いざとなれば呑み込んでしまえばいいんじゃないでしょうか。安心かどうかはそれぞれの心の問題です。いずれにしろ私から個別に説明することは差し控えたい。あとはもう神に祈るのみです。あらゆる試練、逆風、犠牲を乗り越えて、どうか秋には我々が勝てますように」
「はいチャーハンお待ち!」
おーきたきた。
私は週に一度はチャーハンを食べないとならないのだ。
これにビールと餃子があれば最高なのだが、時代がそれを許さなかった。それにしてもオリンピックのニュースばかりで気が滅入る。それも半分コントみたいなもんだ。
「ねえ、大将。今日野球ないの?」
大将はリモコンの先をテレビに向けた。
画面はすぐにサッカーに切り替わった。
「代表戦か」
「何かやってますね」
スタジアムを埋め尽くすはずのサポーターの姿は、今は見られない。選手の声がよく響く。
「何このユニフォーム? どっちも日本じゃない」
「普通はないカードですね」
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