何故か上手くいかない。

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「おい、早く席つけー」 『わかったぞ!!』 休み時間になると、さっき俺に足を引っ掛けようとした?いや、引っ掛けてもらった?人が話しかけてきた。 「もう。君なんなの?よく分からない子だね」 可愛い顔をしながら結構毒を吐いてくる。 むーっとしているがそれもまた可愛い。 可愛いの大渋滞に埋もれそうになっている、聞いてるの!?の机を叩かれた。 『お、おう!聞いてるぞ!!ただ、可愛いなって!!』 「、そ…そう?まぁ、当たり前だけどね!!」 『名前なんて言うんだ!!』 「萌川 詩奈ーモエカワ シイナー。一応親衛隊総隊長だよ。」 し、しんえいたい…ってなんだ? ま、マニュアルマニュアル……。 えーと、《イケメン達を守る隊。》 あーっ!なんたってこうアバウトなんだ!! ん、なになに? 《あなたは親衛隊と仲良くなってはダメ! 親衛隊はあなたに危害を加えるよ!!》 って、萌川が? そんな馬鹿な。 ジーッ 「な、なに。」 『萌川はさ、なんか酷いこととかすんの?』 《しっかり本人に聞いていくスタイル!!》 「酷いことってなにさ!」 た、確かに。 酷いことってなんだ……。 《そして大概こいつの説明もアバウト……》 『わ、わからね』 「…分からないなら聞かないでよね。 けど、まぁ……それが僕自身を守るためならするんじゃない?」 窓をながめながらボソリと呟くようにそんな言葉を発する。 口ではどうでもよさげにしながら、何故かこっちまで苦しい気持ちになるような……? けれどそんな思いは言葉になることも無く話は終わってしまった。
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