何故か上手くいかない。

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佐江川side 「……。なに写真撮ってるの。」 目の前でムスッとした顔で頬杖をつきながらじっと見つめてくる視線に冷や汗がでる。 やべ。気づかれてないと思ってたのに。 『、えっ?いいいやー。別に。』 「へぇ。ktkr王道発言は佐江川か。」 言い訳をしようとしてるうちに気づくと手元から無くなっていた携帯にビックリする。 『え?俺の携帯!?』 バッと顔を上げると、しっかりと萌川の手の中に俺の携帯があった。 自分の手元と萌川の手元を見比べる。 なぜ? いや、二重の意味で。 なぜバレたし、そしてなんで俺の携帯そこにあんの? 「ふーん。佐江川腐男子なんだぁ。」 ニコニコとした顔で俺の方を見てくる萌川に薄ら寒くなってくる。 『、ひゃい!』 ?? なんだ?特に何も無いのか? はぁ、怖がって損した。 そう思った途端耳元で声がした。 「僕のことで妄想でもしたら命は無いと思いなよ」 『、ひぃ!』 や、やばい。耳が孕みそうな低音ボイス。 こんな情事用の声を持っていたなんて中々やるな! けど、そんなことよりもめちゃ怖い。 いやもう、ひたすら怖い。チビっちゃいそう。 とりあえず、携帯を返してもらって腐男子としての活動に勤しまなければ。 『萌川、携帯を返して欲しいんだけど…』 「んー?あ〜、どこにやったかな?」 その笑みは確信犯ですね。オワった。 もう二度と俺の元に彼奴(携帯)は帰ってこないのか……。 すまない、っ…我が友よ……っ!! どうしようかと考えていた時、 「「「きゃァァァァァァ!!!!」」」 黄色い?いや、普通に悲鳴が聞こえた。 こ、これはもしや…っ。 バッと後ろを振り返ると、そこには会長とキスをしている一智好がいた。 う、嘘だ……。俺はなんのために、っ!! 『嘘だァァァァァァァァ!!!』 一通り悲鳴が鎮まり、静かになった食堂で俺の声だけが木霊するという異常事態が起きていた。 《いや、佐江川自身が異常事態だわ。》
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