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副会長side
少し外の空気を吸おうとこっそり寮を抜け出した。
いつもとは違うラフな服装で、きっと私のこんな姿見たら動揺するだろうな、なんてことを考えながら歩く。
他に考えるのは今日会った転校生のことと、あと……あの親衛隊長。
あの転校生は、今までの学園にはいなかった初めて"私"を見つめてくれた。
単純に嬉しかった。
誰かが私にものをいうことすらこの学園は許してはくれない。
そんな中唯一私の目を見て、私に、声を掛けてくれた。
そう、私は望央が好き。
そのはずなのに……。
あの私たちが現れても不機嫌な顔を崩さなかったあの親衛隊長が忘れられない。
小さな葛藤を胸に抱えながら噴水近くまで歩くと、自分より少し小柄な人影が見えた。
……、誰でしょう?
あんな人、この学校にいなかったはずなんですけど。
私の記憶違いですかね……。
スラリとした後ろ姿に長めの髪が揺れていて、近づけば近づくほどその酷く綺麗で儚い姿に魅入られた。
しかし、その瞳は少し虚ろに揺れていた。
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