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「邪魔なんだよ」
カシャンと音を立てて、眼鏡が床にころがった。
そちらに意識を向けてしまえば、為す術ないままカツラも取られてしまった。
自分を守るものがなくなってしまったという本能的恐怖に身体が震える。
「ほら、やっぱり顔いいんじゃん。わかんないとでも思った?」
嫌な笑みを絶やすことの無い男は俺の腕を捉え、そのまま縛り付けた。そのまま突き飛ばされ、埃を被ったマットに倒れ込む。舞った埃に咳き込む余裕もなく、俺の上に馬乗りになった男にキスをされた。それと共に何か甘いものが口の中に入ってくる。
『ん、!?ぅ……ぁ…、んぅ…、、んん!』
甘みが口に広がるのと同時に、上顎を擦り上げられれば一溜りもない。思わず足をバタつかせれば、それを咎めるように舌を噛まれた。
それすらも快感と受け取ってしまう身体はおかしい。
おかしい。
身体が、熱を持ち始めた。
全身が熱く、そして空気が触れるだけで快感をそこから拾ってしまう。
また、目の前の男が嫌な笑みを浮かべる。
手が俺の首元に伸びる。喉仏をするりと撫でられれば、悲鳴のような声が漏れた。
『ひ、!ぁ!!んぅぅ~~~~~~~!うぁ…、んん』
人体の急所に触れられる恐怖と、薄い皮膚をなぞられる快感が同時に襲ってくる。
端的に言えば、俺は盛られたのだろう。
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