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ゴワゴワとした黒い毬藻のカツラをとり、するりと自分の長髪を下に垂らす。
薄い紫色をした髪は腰辺りまで伸びており、前の方の髪は腹の辺りまである。
前髪は八二くらいで分けてあり少しおでこが出ている。
瓶底メガネを取ろうと手を伸ばし……かけたがやめた。
なんかそういえばそれって単数じゃん?ということはカツラのみでいいのでは?
という考えに思い至ったからだ!
『俺頭いいな!!』
《この男。つくづく空気が読めないのだ!》
「……っ。」
俺がカツラを取ると目の前の理事長の目がまん丸に変わった。凄い目開くじゃん。
「か……髪綺麗だね……。」
ん?何かわからないけど褒められたわ。
髪綺麗って特にそんなに男だし嬉しいっほどでもないんだよなぁ……。
《微妙な反応の原因が自分にあるとわかっていないこともこの男の特徴である。》
自分の髪をサラサラと触ってみる。確かに触り心地は大したものだが、別に男だし髪の綺麗さはいらない。
まぁ、なんで長いかといえば、昔から長かったから短いっていうのがなんかしっくりこないだけ。
特に意味はないってこと。
俺は長髪と言っても女みたいに全ての髪の長さが切りそろえられているのではなく、襟足の部分が長いのだ。普通に他の場所は短髪…ってほどでもないが、まぁまぁま短め。
普段は襟足の部分を髪ゴムで結んで行動している。
まぁ、この学校内だとそんなの必要ないだろうけど。嫌味だ。
「君、メガネはとらないのか?」
『ん?メガネ?』
あー、そういえば忘れてた。
カチャリ
俺はすっかり何もかもを忘れて、普通にメガネをとった、
このメガネ意外と重いんだよなぁ。無駄にレンズが。
そう思いながら顔を上げるとやけにクリアに世界が映る。
「、!」
ん?なんか、変だぞ?
下を見てみるとしっかり自分の手に分厚い瓶底メガネが握られていた。
『あ、やややってしまったァァァァァ!!』
「うわ、どうしたのいきなり」
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