宦官は永遠の愛を王に捧ぐ

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 それが王の務めだ、と呻く鳳寿は、愛の伴わない交合も、愛していない女に子を産ませることも、苦痛なのだろう。  根が潔癖な少年のままの、この王は。  どこか冷静に状況を俯瞰しながら、華英は言葉を発することなく静かに立っていた。  鳳寿が何を伝えたいのか、正確に理解するために。 「だから……お前だけを見ていられない俺には、もうお前を愛する資格すらないのだ」 「……っ」  何年かぶりの言葉に、華英は思わず息を飲む。  月と星だけが騒めく夜空の下で告げられて以来、一度として口にされたことのない、愛の言葉だった。 「長い間縛り付けて悪かった。もう、国はあらかた治ったのだ。お前も己の幸せを見つけるがいい。……何処へなりと行け」  言い捨てて、耐えきれないとでも言うように視線を落とす鳳寿に、華英はくしゃり、と顔を歪める。 「…………あなたは、本当に」  常に沈着冷静で容赦ない裁断を下し、鉄面皮の宰相と呼ばれる男の顔ではない。  まるで泣き出す直前の幼子のような顔で、噛み締められて赤みを増した唇は、震える笑みを形作っている。 「見栄っ張りの、大馬鹿者ですね」
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