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ステージの興奮が冷めやらない、帰宅途中の車内で──
「今日は、本当にドキドキしちゃいました」
信号で止まったのを機に口を開くと、
「ドキドキしたのは、私も同じだよ」
と、彼から返された。
「でも蓮水さんは、もうステージにも慣れているから、そんなこともないのでは?」
問いかけに彼が緩く首を振って、私の横顔をじっと見つめると、
「君が隣にいるだけで、緊張が抑えられなくなるんだ」
微かな掠れ声で切なげに呟いて、
「おかしいかい? もう付き合うようになって随分と経つのに、今だに君がそばにいると思うと、胸の高鳴りが抑えられなくなってしまう」
私の髪に愛おしげに手の平でそっと触れた。
「おかしいだなんて……。そんな風に思ってもらえて、とても幸せです」
口にすると、応えるように仄かに赤らむ頬が片手に挟まれて、唇を掠めるようなキスが落ちた……。
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