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埠頭に着き車から降りると、ヘッドライトを点けたままにして、波間に停泊するコンテナ船や、積荷を上げ下ろす大型のクレーンを眺めた。
夜の暗い海を車のライトだけが照らす中、防波堤に打ち返す心地のいい波の音が耳に響く。
「静かですね」
夜遅い港には人の姿は他になくて、私と彼の二人きりだった。
「ああ、本当だな」
着ていたスーツを脱いで、私の肩に着せかけて、「寒くはないかい?」と、彼が口にする。
「はい、寒くは……。あなたがそばにいてくれるから」
「君はかわいいな、本当に」腰に腕が回されて、「もっと、そばにおいで」頬にチュッと口づけられた。
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