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海から吹く風の冷たさに車へ戻ると、港を囲むように広がる街の夜景をフロントガラス越しに見つめた。
「こちらに顔を向けてごらん」
言われて、彼の方を向くと、
「君の瞳に夜景が映り込んで、綺麗だ」
助手席から伸ばされた片手で顎が捕らえられ、さっきよりも深いキスが落ちた。
「ステージの上にいる時から、ずっと君にキスがしたくてたまらなかった」
唇を離して、彼が口にする。
「ステージの時から?」
「ああ、君のウェディングドレス姿の美しさに、胸が高ぶって仕方がなかったんだ」
「……私も。タキシード姿のあなたが、素敵すぎて……っん……」
しっとりと濡れた舌先が下唇を横になぞり、誘われるように開いた唇に啄むように口づけられる。
「もっと口を開いて」
唇の隙から入り込んだ舌が、口の中で緩く絡みつく。
「君を、私だけのものにしたくて……」
「私は、もうあなただけのものですから……」
甘く蕩けそうなキスは、首筋を這い下りて、肩口を滑り胸元を辿った。
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