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「あなたを、愛してる」
「愛してるよ。君を」
抱き合って止むことのないキスをする。
「結婚を少し早めないとな」
「私は、いつでもいいですから」
「いつでもいいと思っていたら、いつになるかわからないから……」
彼がふと言葉を切り、フロントガラス越しに映る海に目を移した。
「……秀司が結婚式の時にも話していたように、再婚する気はずっとなくてな。もうすることはないかもしれないと、自分でも感じていたんだ……」
彼がふぅーっと小さくため息を吐く。
「だが、君を手離すようなことはできなくて。想いは募るばかりで……こんなにも愛せる人ができるなど、思ってもみなかった」
感慨深いような思いで、「……はい」とだけ相づちを打つ。
「だから、きっと──」
と、彼が私をじっと見つめた。
「君と私が出逢えたのは、偶然などではなく、必然だったのだろうと」
抱き寄せられ唇が触れ合うと、幸せの涙が流れ落ちた……。
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