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その後、トンネルを出たところでジョージとコウモリとはお別れをした。ジョージとコウモリはもう人の物を盗まないと約束した。これからは来た人と仲良くして、マッチョ仲間を見つけると意気込んでいた。ブランカとパースは吹き出しそうなのを我慢しながらその話を聞いていたが。
「僕もここらへんでお別れするよ、ブランカ、パース。」
森を抜けたところでシオンは言った。
「ありがとな、色々。出会えてよかったよ、シオン。またいつか会おうぜ!」
シオンは女の子を連れて帰っていった。
ブランカとパースはすぐに帰る気になれず、田んぼの黄金色に光る稲を2人でじっと見ていた。知らぬ間に夕方になっていたようだ。ずっとトンネルの中にいたから気がつかなかった。
「パース、俺さ。」
長い沈黙の後、ブランカは口を開いた。
「俺の夢を嘲笑ったやつらに、ざまぁみろって言うつもりだったんだけどさ。」
「うん。」
「やっぱりそんな必要はねぇよな。自分の夢を応援してくれる人が1人でもいてくれたら俺はそれでいいよ。理解してもらわなくても、俺は俺の道を行くって決めたんだ。」
ブランカは遠くまで果てしなく続く黄金色に光る田園を見ながら言った。
「いいこと言うじゃないか。」
パースはにこっと笑って言った。
「言っとくけど、俺は最初からお前の夢の味方だからな。」
続けてパースが言うと、
「おぉ、親友よ!!」
ブランカはパースにハグをした。
「やめろよ、気持ち悪りぃ!」
パースは笑いながら言った。
沈みゆく夕焼けを背に2つの影はいつまでも楽しげに語り合っていた。
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