森の中のトンネルの怪物

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 日曜日の朝早く、ブランカとパースは噂話のある森へと向かった。ブランカはギターを背中に背負って、パースは食料品をたっぷりと詰め込んだリュックを背負って電車に乗り込んだ。森へは電車で3駅と、わりと近いところにある。駅を降りるとすぐに森までの道が続いていた。 「よしっ、まずは聞き込みからだ!!」  ブランカは勢いよく近くの民家の扉を叩き始めた。あまりにも力強く扉を叩くので、古びた民家の扉はガタガタはずれそうだった。パースは怒られやしないかとビクビクしながらその様子を見守っていた。 「そんなに強く叩かんでも聞こえとるわい!」  中から出てきたのは気の短そうな老人だった。パースはビクビクしながらも 「すみません…。」  と謝ろうとしたが、ブランカに遮られた。 「あの、森の中のトンネルに怪物がいるっていう話について、お話伺えませんか?」  パースは、謝りもせずなんてやつだ!と思いながらブランカを睨んだが、 「小僧たち、その噂話を聞きつけてやってきたのか。肝が座っとるの。いいじゃろう。」  と老人がすんなり言ったので、パースはズッコケそうになった。
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