4人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「老人の話を整理すると、襲うというよりも、完全に盗みだよな?」
パースは歩きながら言った。
「そうだな、これはバトルというよりミステリーになってきたぞ。気がついたら身につけた物が無くなってるんだからな。でも、気味の悪い話だなぁ。」
ブランカも不思議そうな顔をして言った。
森へ続く道はだんだん細くなり、民家もすっかり見えなくなった頃、ざわざわ揺れる木の葉の音とともに例のトンネルが姿を現した。
「こっ、これが例の…。」
パースは大きくて真っ暗なトンネルを目の前にして、腰が抜けそうになっていた。すると、どこからかグスグスと泣く声が聞こえてきた。見ると、後ろの木の裏で小さな女の子が泣きじゃくっていた。
「お嬢ちゃん、こんなところでどうしたの?」
ブランカは女の子の顔を覗き込むようにして尋ねた。女の子は目を真っ赤にしながら、
「お友達に、このトンネルに怪物がいるって話をしたら、お友達がじゃあ確かめてくるって1人でトンネルの中に入っちゃったの…。かなり待ってるけど全然出てこないの…。」
と言った。ブランカとパースは顔を見合わせた。
どちらも暗黙の了解だ。
最初のコメントを投稿しよう!