森の中のトンネルの怪物

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「老人の話を整理すると、襲うというよりも、完全に盗みだよな?」  パースは歩きながら言った。 「そうだな、これはバトルというよりミステリーになってきたぞ。気がついたら身につけた物が無くなってるんだからな。でも、気味の悪い話だなぁ。」  ブランカも不思議そうな顔をして言った。  森へ続く道はだんだん細くなり、民家もすっかり見えなくなった頃、ざわざわ揺れる木の葉の音とともに例のトンネルが姿を現した。 「こっ、これが例の…。」  パースは大きくて真っ暗なトンネルを目の前にして、腰が抜けそうになっていた。すると、どこからかグスグスと泣く声が聞こえてきた。見ると、後ろの木の裏で小さな女の子が泣きじゃくっていた。 「お嬢ちゃん、こんなところでどうしたの?」  ブランカは女の子の顔を覗き込むようにして尋ねた。女の子は目を真っ赤にしながら、 「お友達に、このトンネルに怪物がいるって話をしたら、お友達がじゃあ確かめてくるって1人でトンネルの中に入っちゃったの…。かなり待ってるけど全然出てこないの…。」  と言った。ブランカとパースは顔を見合わせた。 どちらも暗黙の了解だ。
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