森の中のトンネルの怪物

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「じゃあ、お兄ちゃんたちがお友達を探して連れてくるからそれまで待っててくれる?」  ブランカは優しく言ったが、もう1人になるのは嫌なのか、女の子も行くと言い張って聞かないので、3人でそろりそろりと真っ暗なトンネルの中へ入っていった。  トンネル中を進むにつれて真っ暗になっていく。トンネルの先は全く見えない。あろうことかパースが懐中電灯をリュックに入れ忘れたので、トンネルの壁に手を当てて、手探りで進んでいくことにした。幸い、古いトンネルからか、トンネル壁にひび割れたところから少し光が入ってきていた。そのおかげでなんとなく他の人の顔くらいは見えた。トンネル側からブランカ、女の子、パースの順だ。 「暗くて怖いよう…。お友達はまだなの?」  また泣き出しそうな女の子の手をブランカとパースはしっかり握りながら進んでいく。 「お兄ちゃん、手握りすぎ。痛いよ。」  女の子に指摘されてパースは思わず顔を赤らめた。幸いトンネルの中で真っ暗なため誰にも見られなかったが。 「何してんだよ、パース!びびってんじゃねぇよ!」  姿は見えないが、ブランカの声もトンネル内に響き渡る。
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