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配信名:やった!
配信名:やった!
「よぉ」
「やぁ」
「こんにちわ」
「初見です」
「初見です」
「初見です」
「初見です」
あれ、なんかおかしいな、同時接続者一万?!
「こんばんわ、はじめまして、なにがあったんですか??」
「かなだよ!昨日スクショしてTwitterにあげたらバズった、」
「そうそう、すごいバズってたよな、本人たち探ししてたし、皆んな」
「タケルも有名人か、悲しいような嬉しいような」
「俺らのコメも拾ってもらえなくなるな。」
「いやいや、今まで通りですよ」
「ほんとか??」
「初見です、何歳ですか?」
「初見です、身長は?」
「初見です、彼女いますか?」
「初見です、イケボですね、カッコいい!」
「初見さん、ここでは僕のことより、雑談メインなので、プロフィールに関してはどこかまとめて貼っときますね」
「ところでどーしたん、今日」
「それな、こんな夜中に」
確かにそうだ、今は深夜の2時、こう思われてもおかしくない。
「あっ、そう言えばですね、、」
「なんと、ライン交換しました!!」
「おお!!」
「おめー!」
「よくわからんけどおめでとう!
「上に同意」
「おめ!!」
「ありがとね、皆んな、心臓バクバクで寝れないから配信した笑」
「かなはやると思ってたよ!」
「かなちゃんのアドバイス的確だからね!」
「さすかな」
「でもここからどうすればいいのか…。」
「とりあえず、雑談?笑笑」
「たける雑談得意じゃん」
「それな」
「初見ですが、タケルさんの声好きです!電話とかは??」
「電話はまだ…ちょっと笑」
「なんで送ればいいのか、教えて欲しいな笑」
「無難に誕生日とか?」
「予備校生なら勉強のことじゃね??」
「単刀直入に好きな子いますか??で!!」
「かなはまずは自己紹介がいいと思う!」
「かなちゃんと同じく」
「おれも!」
「わたしも!」
「自己紹介……ですね、やってみますね」
「あっ、もうこんな時間か、みてくれてありがとう、またね!」
「バイバーイ!」
「じゃあね!」
「さよなら〜」
「バイバーイ」
「バイバーイ」
「あっ、今来た……笑またね!」
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こんな感じで視聴者からアドバイスをもらう。相手の顔も知らない、恋愛経験については尚更知らないのに、なぜか説得力のある彼らの言葉を目の当たりにし、信じ、信用し、演じる。
正しいのかなんてわからない。大人たちにあれやれこれやれと自分の価値観を押し付けられるのには反逆精神が湧くが、赤の他人の、画面越しの仮面の関係の彼らの言葉にはなぜか信憑性がある。
それは、不特定多数が、好きなようにコメントできるこの空間ならではの、正解が複数存在し、その中で取捨選択できるからなのかもしれない。
大人が正しいと自分の経験則から押し付けてくる、考えとは裏腹に、経験してもないことを教えてくる、不確かなものはなぜか僕を魅了した。
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