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「もし 真と結婚したらさ。毎日ふたり分お弁当作らないかんの?」
「そうだな・・・そこは当番制にしない?」
「えー、うち朝苦手やし・・・卵焼き焦げたのしか作れん。」
侑李は口を尖らせる。俺はそんな彼女の寝癖で溢れた長髪をとかした。
「もし 真と結婚したらさ。毎日一つのベッドで寝るんか?」
「そうだな・・・だいぶキツくなってきたら考えるかも。」
「は?それウチの寝相悪いってことか?」
侑李は機嫌悪く足を蹴り飛ばす。俺は本当のことだし・・・と眠気声に反論してみた。
「もし 真と結婚したらさ。時々喧嘩もするんかな?」
「そうだな・・・案外そういう方が長く続くかもよ。」
「そういうもんなんか?」
背中合わせにそっぽを向きながら、侑李はボソッと呟く。俺は彼女の体温を感じながら、同じくらいの声で答えてやった。
「もし 真と結婚したらさ・・・ウチがまたこんな風になっても・・・一緒にいてくれるか・・・?」
「そうだな・・・少なくとも すぐ飛んでくる。」
「・・・うん」
病院の待合室で、腕を押さえながら侑李はうつむく。俺は彼女の長袖から垣間見える包帯をこっそり見つめながら、傷が浅かった安心感と、初めて人の気持ちに入り込めない無力さを飲み込んだ。
「もし 真と結婚したらさ。うちが生むのって、男の子かな?女の子かな?」
「そうだな・・・まず色々準備が必要かもな。」
「・・・夜の営み下手そうやな。」
「るっせぇ」
柑橘色の缶を片手に、侑李はフニャッと笑う。俺は良い具合に染まった頬に色気を覚えつつ、生意気な口達者を征した。
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